
「糖質制限」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
「炭水化物を食べないということ?」
「パンや白米を抜けばいいの?」
と、さまざまなイメージを持っている方がいらっしゃいます。一般的に言われている糖質制限とは、白米、パン、麺、砂糖の含まれたものなどを極力摂取しないというダイエットです。そして、単純に体重を減らすという意味では、結果を出した人もいるでしょう。
しかしからだフィットは、糖質制限をあまり推奨しません。コントロールすることは必要ですが、完全に糖質を摂取しないダイエットは、さまざまな弊害を引き起こすからです。
その一つが、筋肉の分解。
過去の記事でも、健康や美容を守る上で筋肉がいかに大切かをたくさんご説明してきました。糖質制限は、運動習慣やタンパク質の摂取で一生懸命増やした筋肉が、分解されてしまうリスクを引き起こすのです。
体内に入った糖質はどうなるの?
糖質の大切さを理解してもらうために、まずは糖質を摂取してからからだの中でどのような働きをするのかを解説します。
食事で摂取した糖質は、ブドウ糖に分解され、筋肉と肝臓でそれぞれエネルギー源となるグリコーゲンとして貯蔵されます。肝臓の「肝グリコーゲン」は、血糖値が下がった時に血液中に放出されます。それによって脳の働きが順調になります。「筋グリコーゲン」は、血液には放出されず筋肉のエネルギー源となります。
これらのグリコーゲンが不足するとまずは脂肪がエネルギーとして使われますが、ある程度使うと、次はタンパク質もエネルギー源として使われます。この時、筋肉中のアミノ酸が使われるので、筋肉の分解が進行するのです。
以下の表は、グリコーゲンが不足すると現れる症状をまとめたものです。ダイエットのために糖質を減らしたいという人は、このような症状が出る前にお米などで糖質を補給しましょう。
糖質を摂るときは低GI食品を選ぼう
糖質は欠かせない栄養素であることをお伝えしましたが、過剰に摂取したり空腹の状態で摂取すると、血糖値の急激な上昇を引き起こします。
血糖値が上がると分泌されるインスリンというホルモンは、血糖値を下げ、血管を守る働きをします。しかし血糖値の上昇が急であればあるほど、インスリンの分泌も激しくなります。それによって血糖値が急激に下がるのですが、それが空腹を感じさせる原因に。からだが「空腹だ」と勘違いすることで、過食を引き起こしてしまうのです。
また、インスリンが血糖値を下げようとするとき、脂肪の合成を促すという作用もあります。インスリンの過剰な分泌は肥満にも繋がってしまうのです。
重要なのは、急激に血糖値をあげないこと。そのためには、どのような食べ方をするべきでしょうか。糖質を含む食品には、高GI食品と低GI食品があります。食後の血糖値の上昇を示す指標で、GI値が高い食品ほど血糖値が急激に上昇します。逆にGI値が低い食品は、同じ量の糖質をとっても血糖値は上がりにくくなります。同じ原料でも加工・調理方法によってGI値が異なるので注意。例えば食パンは高GIだけれど、全粒粉パンは低GIです。
炭水化物をつい食べすぎちゃうのはなぜ・・・!
ご飯やパンなどは、気付かぬうちにたくさん食べてしまうほど、美味しいですよね。お腹がいっぱいになっていたとしても、美味しいと感じる人もいるでしょう。つい食べすぎてしまう理由は、人類の歴史に由来しています。
もともと狩猟採集生活をしていた人類は、「生きるためにチャンスがあれば糖質を摂る」ということがプログラミングされています。そして糖質摂取でエネルギーを得られると、幸せを感じるホルモンであるセロトニンやドーパミンが放出されます。食べることが幸せなことという風に、からだが覚えているのです。
私たちは強く意識していませんが、糖質を摂取した時、脳は快楽を得てハイな気分になっています。この快楽に依存てしまうことを、「糖質中毒」といいます。自分が意識せずとも食べたくなってしまうので、食欲をコントロールするのが難しくなります。
甘いものをつい食べたくなってしまうのも、中毒作用が働いています。糖質がたっぷり含まれた甘いものを食べるとドーパミンが分泌され快感を得ます。砂糖は高GIですから血糖値が急上昇。食後しばらくすぎると血糖値が下がった状態になり、甘いものが無性に食べたくなるのです。これを繰り返していくと中毒状態に。
このスパイラルに陥らないよう、からだが満足できるバランス良い献立を意識して、規則正しい食生活を整えていきいましょう!